ニキーチンさんに学ぶ①「創造の階段を自分の力で一段ずつ登る」
皆さんはニキーチン、という名前を耳にされたことはありますか?今日はまず、ニキーチンさんがあそびや教育をどう捉えておられたのかを、少しお話ししておきましょう。
『ニキーチンの知育あそび』という本が暮しの手帖社から発行されたのは1985年、20年以上経った今でもニキーチン氏の考え方に共感し、「知育」ということばの本質を捉えて、ニキーチン積木を含め子どもと共にニキーチン流のあそびを楽しんでおられる方が日本にも少なからずいらっしゃると聞いています(『ニキーチンの知育あそび』は、コチラの書籍紹介のページにも掲載しています)。
ニキーチン夫妻は7人の子どもたちを育てる中で「育ちの本質」を見つめ、“育つこと”“育てること”とはどのようなことかを提言してこられました。彼らの生活観や積木あそびの考え方など今でも読むたびに新鮮です。衛生・運動・知育のみならず、人との関わり方や思いやり・家族のあり方・大人の役割・困難の乗り越え方など、人が人として生きていく上での様々なことへの問題提起をする彼らのことばやその暮らし方は、自ら考えるきっかけを与えてくれます。
ニキーチン夫妻の家には、子どもたちの手の届くところにあらゆるものが用意されていました。大工道具・木片・工作用具・紙・吊り輪・鉄棒…そしていつもなにをしようかと好奇心一杯の兄弟たちや、一緒になって喜び、感じ、まじめに遊んでくれる両親、そんな家庭の中から少しずつ生まれ育ってきたのが「積木あそび」です。
基尺の揃った立方体にペイントされた積木は、黙々と一人で遊ぶ子どもや、問題を作って子どもに“作り出す”ヒントを与える親、新しい使い方や遊びを生み出す子どもたちによって独特の世界を作り出しました。
幼い子は大きい子どものまねをしようと、じっくり観察します。大きい子どもはより高度なものに挑戦したり、作った形を図面に表したりします。おとなは、子どもたちの成長を見守りながらひとりひとりを理解しようとし、またおとな自身も積木あそびにチャレンジすることを楽しみます。おとな・子どもに限らず、頭の中は自分の考えや工夫を素直に表現できる楽しさでいっぱいなのです。
長い年月と多くの子どもに育てられた「ニキーチンの積木あそび」これについてニキーチンさんはこう言います。
<積木あそびに育つ力は、科学的な考え方だけでなく、人生で起こる様々な問題を解決していくのになくてはならないものです>
遊び方の具体的な方法を覚え、それを子どもに“させる”ことは簡単です。しかしニキーチン氏は
≪それならいっそのこと、しないほうがいい!≫
とまで言っているのです。
私たちも、本当の意味での楽しさ・おもしろさ・そして子どもとおとなが一緒になって育っていける、ひとつの手立てとして「ニキーチン積木」を共に体験してみようではありませんか!
ではいよいよ次回からニキーチン積木の楽しさを具体的に紹介していきます。どうぞお楽しみに!
主任研究員 宍戸信子