ニキーチンさんに学ぶ② 「みんなの積木」

ニキーチン氏が考案された積木はいろいろあります。すでにロングセラーでもある「ニキーチンの知育遊び(暮しの手帖社)」で紹介され、書かれているとおり手作りなさった方もいらっしゃると聞いています。ニキーチンの積木用に、と3センチ角の木片を切ってもらうのに列が出来た、というあるお店の話が残っているほどです。
いまは、出来上がっている積木が販売されているのでうれしいですね。

ニキーチンの積木には興味があるけれど、何から始めたらいいでしょう?という質問をよく受けます。
一度子どもに「みんなの積木」を袋や箱にいれたまま手渡してみてください。どの子も迷わず中を見て積木を取り出したあと、何にも言わなくても「並べ」「組み合わせ」「積み上げ」遊びだします。これには私も、いつも驚かされます。もちろん「どうしたらいいの?わからない…」という視線を送ってくる子どもがいない訳ではありませんが、ちょっと他の子どもを見ているうちに、そしてこちらから一言「大丈夫、出してご覧」と声をかけると徐々に積木に手が伸び…そうしてたちまち積木に夢中にあそび始めます。

誰かに故意に導かれたり教えられるのではなく、子どもが自分のペースで7種類の積木でいろいろ試しているうちに、「自然に手と目で形を理解していく」そんな階段を一段ずつ登っていくようなプロセスを、つぶさに見ることが出来ます。
また、たとえばそばにお父さんやお母さんがいらっしゃって
「ほ~階段ができたねえ」「わ、すごい、ここトンネル?」
などと言われると、子どもの目がきらりと輝き、新たな視点が芽生えている様子も見られます。そんなときにタイミングよく手渡せると活躍してくれる助っ人は、木製の小さな人形や車・動物や木(私はアムステルダム積木の部品やドールハウスの人形を使います)。の上や積木のそばに、黙ってそっとひとつ置いてみます。たちまちその積木のひと固まりが、マンション・ガレージ・動物園・公園…となってまた新たなイメージの展開が始まるのです。
もちろん高く積み上げたり長く並べたりというシンプルなことも十分楽しむ姿も、また「穴が開いてない壁を作るぞ~」ってチャレンジする姿も、いきいきと見うけらます。
こうして積木と共に「会話」しながら様々な発見を楽しんでいる子どもの様子を目の当たりにするたびに、子どもの力に寄り添いつつ、子どもにわかる喜び・できる自信が与えられるおもちゃとは、十分な思慮と子どもの育ちへの深い思い、そして自然科学の秩序にしっかりと裏打ちされた「本物」だと確信します。
そして、このニキーチン積木「みんなの積木」も間違いなくそのひとつだと思うのです。