ニキーチンさんに学ぶ④ 「そばに居ること」
分かること・できること。子どもにとって、「自分自身で分かる!出来る!」が目に見えて確かめられることは、どれだけうれしくておもしろくて誇らしいことなのか、を実感するのがおもちゃ遊びです。さらに、その時、共に楽しんでくれる人・認めてくれる人・分かってくれる人がどれだけ重要なのか、を痛感させてくれるのも、おもちゃです。
ニキーチンさんのすごさは、大変魅力的な積木とその遊び方を考案なさったことにありますが、もっとすごいことはその積木と共に「子どものそばに居る」ニキーチンさんの存在の仕方にあると思います。子どもが何をしようとしているのかを見守り・見極め・タイミングよく声をかけ、そして共にそこに居ることを静かに楽しんでいらっしゃる姿を想像するのは難しいことではありません。なぜなら、子どもたちが積木あそびを通じて、どのように物の見方を広げてほしいか、どんなときに困難が起こり、それをどのように乗り越えてほしいか、が明確だからです。その明確さは、ニキーチン積木のデザインはもちろんのこと、「ニキーチンの知育あそび」にかかれている子どもたちとの会話や遊びを展開のための豊かな「仕掛け」を読むとよく分かります。
いいおもちゃで遊んでも、いい教育法を使っても、それは「人」によってどんな風にも変化します。子どもたちのよき理解者であること、そして共に経験を共有し共感しあえること…生きる力の支えはここにあるのではないでしょうか?
ニキーチンさんの子どもたちを見守る視線はあたたかです。子どものことをよく知って、子どもの育ちを支え、豊かな子ども時代を送れるように準備万端。そしてあとは見守り、必要なときだけ手助けをする…。そのために作り出した「ニキーチン積木」と「その遊び方」と「ともに過ごす時間が生み出した経験と共感」。
私たちもニキーチンさんのように積木やおもちゃや歌や遊び…それらのものを媒介にして、子どもたちと過ごす時間を今一度見直してみませんか?きっと、子どものすごさ・おもちゃやあそびのすごさ・そして「“私自身”もなかなかいいヤン!」に出会えますよ!
ニキーチンさん、いつも大事なことを思い出させてくださってありがとうございます。
主任研究員 宍戸信子
これで、ニキーチンシリーズは終了です。ありがとうございました。